【2023年2月更新】
開業届を出してない専業フリーランス(給料なし)が、還付を受けるために白色申告&雑所得で確定申告する方法を調べた第5回。
扶養内の主婦・学生、退職者など、自分と同様に比較的低収入のフリーランス向けです。
第5回は投資関係の確定申告について。申告すると還付が受けられるものがあります。申告方法などを紹介します。
投資の損益がない人は飛ばして第6回(予定)に進んでください。
過去の記事は↓こちら↓
1: 確定申告が必要な場合と、情報収集の方法編
2: 売上の書き方、収支内訳書編
3:経費の書き方、収支内訳書編
4:収入の書き方、確定申告書編
第4回で入力した確定申告書の「収入金額・所得金額の入力」のページで、続けて金融関係の損益を記入していきます。
銀行預金は不要、外貨預金は為替損益を記入
日本の銀行預金・貯金の利子・利息はすでに税金が引かれているため、申告しません。
「利子所得」の欄がありますが、これは税金が引かれていない特別な利子用です。
外貨預金の為替差益は申告が必要
例外は外貨預金。外貨預金で発生した為替差益の申告が必要です。利息の部分だけ税金処理が終わっていて、利益全額じゃないのがややこしい。自分の場合は銀行のホームページに年間為替損益が計算されていました。
「雑所得」を選び、「業務に該当しますか」に「いいえ」と答えると、雑所得の「その他」のところに入力されます。
為替差損が出てしまった!という場合、ほかの雑所得(業務など)と合算=利益と相殺できるありがたい項目です。(国内FXとは損益通算できません)
株式の配当・投資信託の分配金は申告を検討
株式の配当・投資信託の分配金は、証券会社の口座が「特定口座(源泉徴収あり)」であれば、非課税のNISA以外は税金20.315%が自動的に引かれています。
納税が済んでいるのでこのままでもいいのですが、税金の計算で使う「課税所得」が695万円以下の人の場合、税率も低いし配当控除もあるので、申告して「総合課税」を選べば税金が安くなります。所得税・住民税が0円なら払った税金が戻ってきます!
申告する場合は、証券会社から受け取った「特定口座年間取引報告書」などを準備。「配当所得」の欄から入って、内容を転記すればOKです。
申告所得が増えることに注意
デメリットもあります。申告すると配当が所得としてカウントされてしまうのです。税金がかかる所得金額に達してしまう可能性があります。
心配な人は、確定申告書の作成ページで試しに「配当を申告」「配当を申告しない」の2パターンで入力してみて比較すると確実です。(データを送信しなければいろいろ試せます)
入力すると税額や「課税される所得金額」が表示されるので、どちらの税金が安いかを確認して配当を申告するかどうか決めてください。
また、扶養内の主婦や学生など、扶養の範囲が気になる人は要注意です。会社の扶養手当がもらえているなら、扶養手当の基準を要確認。詳しくは第1回を参照してください。(リンクは上にあります)
尚、源泉徴収なしの人は税金を納めてないので、いずれにせよ申告する義務があります。(確定申告が必要な金額かどうかは第1回の記事参照)
外国税額控除
米国株など外国株の配当を受け取っている人は、外国税額控除も受けられます。
こちらも特定口座年間取引報告書に記載されているのですが、自動で入力されないので、自分で忘れずに入力が必要です。
こちらは少し後の「税額控除」の画面で入力します。第6回で説明します。(リンクは記事の下の方にあります)
株式や投資信託の譲渡益・損失
株式や投資信託を売買したときの利益は、配当とは違い、総合課税にして還付ということができません。
証券会社の口座が「特定口座(源泉徴収あり)」であれば、税金20.315%が自動的に引かれているので、これで完了です。
源泉徴収なしの人は要申告。
NISA、iDeCoは非課税なので不要です。
譲渡損失は繰越可能
譲渡損失は仕事の収入と相殺することはできませんが、他の証券会社で取引した譲渡益や配当、国債の利子と通算できます。
それでも赤字が残れば、翌年から3年間繰り越すことができます。
「分離課税の所得」のブロックにある「株式等の譲渡所得等」から入り、「特定口座年間取引報告書」などを転記していくと、赤字なら譲渡損失を繰り越すための計算明細書が作成されます。
昨年赤字を繰り越している場合には、今年の譲渡益を申告すれば赤字分と相殺できます。ただこれも、申告すると譲渡益が所得にカウントされるので、扶養内など気になる人は課税所得金額を要確認です。
配当と譲渡益はどちらかだけの申告でOKです。譲渡損失を申告する場合には配当と両方の申告が必要になります。
FX、先物、オプション、CFD
FX、株価指数や金などの先物取引、オプション取引、CFD(差金決済取引)で利益が出たら申告が必要です。
「先物取引に係る雑所得等」としてほかの所得とは別管理(申告分離課税)になります。税率は20.315%。
利益や損失をたとえば仕事の収入や株の損益と合算することはできませんが、「先物取引に係る雑所得等」の中でなら別の取引とでも損益通算可能です。
損失は3年間繰越して、その間の黒字と相殺することができます。
尚、海外FXなど日本で登録していない事業者は、この枠とは別の雑所得(外貨預金の為替損益と同じ扱い)になるそうです。使っているサービスで確定申告の方法を確認するのがおすすめ。申告用の年間収支などが用意されていることもあります。
FXなどの入力方法
「分離課税の所得」のブロックにある「先物取引に係る雑所得等」から入り、種類(「為替証拠金米ドル/円」など)ごとに「差金等決済に係る利益又は損失の額」の欄に入力。これで利益も損失も申告できます。
FXは為替差益・差損もスワップポイントもひとまとめにして申告してOKです。決済の方法は「仕切」。未決済の含み損益は含みません。記入見本はこちら。
暗号資産(仮想通貨)
ビットコインなどの暗号資産(仮想通貨)の扱いはまた別です。
こちらは、「雑所得」の入力項目から入り、種目「暗号資産」を選びます。
上で別管理になっている「先物取引に係る雑所得等」以外の雑所得とは損益通算できるので、雑所得(業務)や外貨預金の為替損益とは、どれかで損失が出ていれば相殺できます。
いよいよ次回は最終回。その他の項目を入力して提出します。